秋になり行楽シーズンが到来しました。私もガチ勢ではありませんが趣味で登山をたしなむため、登山関連のニュースや熊の出没情報などは調べる機会が多いです。そんな私が見ると、今年は特に事故が多いのでは、と感じています。
山の事故は個人の責任、とは言え捜索依頼が出された場合、民間のヘリコプターなどが出動するとその費用は1分1万円という超高額なものになる場合もあります。
今回は昨今の登山での事故状況や捜索依頼が必要な場合の様々なケースや費用などについて解説していきます。
過去のデータから見る事故状況・統計
これは警視庁が毎年出している山岳事故の状況の報告者です。
この報告者によると、近年は事故の発生件数はコロナ過であった令和1~2年を除き増加傾向で、令和4年には過去最大値となっています。
都道府県別の発生状況によると、多い順に長野県284件、東京都205件、北海道192件であった。(令和4年度)
ちなみに年齢別での遭難者は40歳以上が78.4%、60歳以上が50.7%
そのうち、死者、行方不明者となると40歳以上が94.2%、60歳以上が70.6%と年齢が上がるにつれ遭難率、死亡率ともに上がっていくのがわかる。
これは登山をする人の年齢層が高いことや、年齢による体力低下による事故遭遇率の上昇などが考えられる。
令和4年 | 令和3年 | 令和2年 | 令和1年 | 平成28年 | 平成26年 | 平成25年 | |||
発生件数(件) | 3.015 | 2.635 | 2.294 | 2.531 | 2.495 | 2.293 | 2.172 | ||
遭難者数 | 3.506 | 3.075 | 2.697 | 2.937 | 2.929 | 2.794 | 2.713 | ||
死者数 | 301 | 255 | 241 | 267 | 278 | 272 | 278 | ||
行方不明者数 | 26 | 28 | 37 | 32 | 41 | 39 | 42 | ||
負傷者数 | 1.306 | 1.157 | 974 | 1.189 | 1.133 | 1.041 | 1.003 | ||
無事救出者数 | 1.873 | 1.635 | 1.445 | 1.449 | 1.447 | 1.442 | 1.390 |
令和5年度夏季(7.8月)事故統計
これは今年に出された夏季(7.8月)のみの警視庁のデータである。
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
発生件数(件) | 606 | 470 | 533 | 668 | 738 |
遭難者数(人) | 669 | 541 | 597 | 786 | 809 |
死者 | 54 | 47 | 46 | 45 | 61 |
行方不明者 | 7 | 6 | 10 | 3 | 9 |
負傷者 | 330 | 227 | 251 | 324 | 351 |
無事救出者 | 285 | 267 | 300 | 417 | 397 |
今年もかなりハイペースで増え続けており、やはり原因としては登山人口の増加や高齢化が考えられる。
連日のニュースを見るとそのコメントには同情や無事を祈るもののほかに、個人に費用を払わせるべき、や捜索する警察関係者やその地区への同情を訴えるコメントなどが見られる。
もちろん事故は予期せぬときにおこるものであり、防ぎようのないものもあるとは思うが、事故にあった方の中には装備がしっかりしていればけがをしなかったかも、という事例やきっちりとした登山計画書を提出していれば発見できていたかも、という事例も多く見受けられる。こういったことが登山者の評判を下げたりということにもつながるので、個人個人でのリスク管理が必要だと思う。
私も単独登山で遭難しかけた経験があり、かなりの恐怖を感じたためその後はきっちりとした下調べとリスク管理を考えるようになった。
もちろん本人やその家族、知人が一番大変にはなるが、遭難した場合は捜索者の2次災害や経費の問題もあるため、これから登山する人には安全な山行にしてほしいものだ。
不慮の事故、その事故にかかる経費や助けを求める場所
それでも起きてしまうのが事故…ではそういったときはどこに助けを求めるのがいいのか?
まずは遭難事故発生から救助要請を本人や家族がすることになる。捜索活動なら基本は警察や消防が主体となるため110番や119番となる。
誤解があるかもしれないが警察や消防による救助活動は基本は無料で行われることになる。
ただし条例により特定の山岳地帯で救助費用を請求すると定められている自治体もある。(埼玉県など)
捜索のイメージはこんな感じ
- 家族や本人からの捜索以来
- 警察や消防などの公的機関による1次捜索(基本は無料)
捜索期間は1週間から10日。それで発見されない場合は家族の依頼などによって2次捜索が行われる。(場合によっては人命救助の観点から1次捜索から有料の民間捜索隊が参加する場合もある) - 2次捜索
公的機関の捜索は期間で打ち切られる。その後の捜索は家族が自費で行うこととなる。
この時の2次捜索の捜索規模や捜索範囲などは家族の依頼と同意で行われることとなる。
この2次捜索にタイトルに挙げたような莫大な費用が掛かる場合がある。
具体的な費用としては
- 日当:3万~5万円
- 宿泊費:1万円
- 保険料:1.5万円(1週間)
- 民間の捜索ヘリ:過去の例では2時間で120万円という事例もある
- その他交通費、通信費、消耗品などが人数かける日数分かかってくる
捜索に時間がかかると、費用の面でも大ごととなり、下手をすると数百万~数千万なんてことにもなりかねない。さらには遭難者が見つからず行方不明なんてことになると死亡認定できず死亡保険もおりない最悪のケースとなる。
いや…遭難者が亡くなるのが最悪のケースか…
ということなので登山前にできることは、最悪のケースに備え登山保険に入っていく。万一遭難してもすぐ見つかるよう登山計画の提出や、GPSで家族に位置を知らせておくなど、できることはあるはず。
保険は用途や補償内容によって決めよう!
ちなみに私は少しでも危険だと思う山にはPayPayのアウトドア保険に加入していくぞ
この保険は1日単位で入れ、救助保証も100万~300万。値段も1日180円からとお手頃価格だ。補償内容は本人の責任で十分確認しましょう!
遭難に対するまとめ
このようにデータから登山者の事故や遭難は年々増えている。
特に40代以上の人データからも事故が多くなっているのがわかるので十分注意しよう!
- 40代以上の事故が圧倒的に多い(登山愛好家の年齢層や年齢による体力低下が考えられる)
- 遭難・事故は年々増加傾向
- 登山計画の提出やGPS等機器の仕様で発見率が上がる(単独行動の場合は特に気を付けよう)
- 捜索に民間が介入すると莫大な費用が掛かる場合もあるため保険加入を検討しよう
- 自身の体力や実力を過信せずに計画を立てよう
登山って運動にもなるし、景色や自然を楽しめる本当にいいものですが、なにぶん自然相手のため何が起こるかわかりません。常にリスク管理を考えながら楽しみましょう!
捜索費用数千万なんか請求された日には…
登山ってほんとにいいものですね
おわり